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連れて道連れ首輪をはめて

昼休み明けの午後一つ目の数学の授業中、
発泡スチロールをこすり合わせたような
実に耳障りな音が教室中に鳴り響いていた。

「なんなんだ、この音。」

と、誰もがそのような疑問を抱くものだと思ったが
そのように感じたのはその教室にいたカリン一人のみであったらしく
誰もが平常通りの授業体制を保っていた。

「うるせぇ…。うるさすぎる…。」

こんなんじゃ全く授業に集中できねぇじゃねえか、とカリンは内心思っていた。
学校側からは半ば諦められてしまうほどの問題児扱いされていたカリンだったが
諸事情と目標のために昨年末あたりから真面目に黒板とにらめっこを繰り広げるようになっていた。
ほんの少しではあったがその成果が表れ、
学年末テストで彼女は人生初の高得点(前年比)をマークしたのであった。


高校三年生の春。
まだ通学路には初々しさの漂う季節。
カリンは、曲がりなりにも真っ直ぐに学生を謳歌していた。


月一企画でもないですが
授業中に思いついたお話を載せます。
ちょっとくどい表現を使いぐだったりしてますが
お時間が本当にございましたらお読みください(苦笑)


ではでは、明日も楽しく行きましょう!!


また明日!!



結局数学の授業の終了まで発泡スチロール音は鳴りやまず
ひどく疲弊したカリンは授業終了直後、机に突っ伏して休憩をとっていた。
チャイムと同時に発泡スチロール音も急に鳴りやみ、それがカリンの疲労感をさらにあおっていた。

「…まさか、幽霊だろうか。」

カリンはそう机に向かって呟いてみたが
そんなことを考えるとさらに疲労をため込むだけのように感じたので
頭の中で前言を撤回し、気晴らしに教室を出て行こうと机から起きあがった。

カリンは昔から霊感というものが備わっていた。
幼い頃は何度も一人で怖い思いもしたし、好奇の目にさらされたり
人に中傷されることも多々あった。
そして今も変わらずその霊感は備わっていて連日金縛り肩こりに苛まされ睡眠不足の日々、
肌荒れはやはりこのせいなんだろうかと鏡の前で悩む日が続いている。

「あ、カリン。手伝って~。」

椅子から立ち上がった瞬間、カリンはクラスメイトのマリに呼び止められた。

マリの手にはクラスメイトの数学のノートが大量に抱えられていたが
それでも持ち切れなかったのであろうノートが10冊程度まだ教卓の上に乗っていた。
おそらくそれを持つのだろうとカリンは察した。

「あいよ。」

カリンは快くその申請を受諾した。

「ありがと~。」

「そっちのも少し持つよ。」

カリンはマリの抱えていたノートの三分の二程度を受け取った。

カリンは学校側からは問題児扱いされてはいたが
クラスメイトとは仲が良く、よくこういった手伝いを頼まれていた。

たまに、都合よく使われているような気もしなくはない
と、思うこともあったが別に友人達も悪気はないだろうとわかっていたので
そこまで嫌でもなかった。

「いつも、ありがとね~。」

「いえいえ。」

カリンとマリは並んで職員室へと歩き出した。

カリン達の教室から職員室までの道のりは大したものではなく
校内の各教室から見てもその距離は近い方だった。

その順路の途中にも懸念するような教室や設備は無く
しいて言うならば、職員室の隣にある生徒指導室がカリンにとっては若干の懸念材料であったが
今は何一つやましいことはしていないので
カリンは特に何も心配せずにマリと会話をしながら職員室へと向かっていた。


しかし、職員室が見えた途端。
また発泡スチロールをこすり合わせたような音が鳴り始めた。

「…ちっ。」

カリンは思わず小さく舌打ちを漏らした。
しかし、マリには聞こえないよう小さく鳴らした。

これはまた何かに取り憑かれたのかもしれないな、とカリンは内心ため息を漏らしていた。
カリンはまた寝不足ひどくなるかもしれないと少し腹をくくり
肌のケアしないとかな、と母の化粧台の上の化粧水を思い出していたら
急に足元がおぼつかなくなった。

「あれっ…?」

そう、思わず声を漏らした瞬間カリンは職員室の目の前の廊下にうつ伏せに倒れていた。
受け身をとらず倒れたためにひどく痛そうに大きな音をさせたから

「カリン!?」

と、マリが声をかけたのと同時に職員室の扉が開き教師達が駆け寄ってきた。

「おい!大丈夫か!?」

「カリン!?どうしたの!?」

と、教師とマリが代わる代わるカリンに話しかけているがカリンは一切返事をしなかった。
これは緊急事態だと判断したらしい職員室は救急車を呼び、カリンを保健室へ連れて行った。

カリンはそんな風に自身の身体が運ばれていく様を少し上から眺めていた。

これがたぶん幽体離脱ってやつなんだろうなぁ、と
カリンは冷静に自分の置かれる状況を分析していた。
カリンは心霊体験の耐性が少ししっかりできすぎていた。

そして、変わらず発泡スチロール音は鳴っていた。
しかし、これまでとは違いかなり近くでその音は鳴っていて
容易にその音の発生源をとらえることができた。

「なんだ、お前。」

カリンが音の発生源の方を向くと俗に言うタマシイっぽい青白い物体に
星のカービィ的な目と手が備わっている謎の物体が浮いていた。

『キュ・・キュ・・キュキュ・・・。』

あぁそうかこの音はこいつの鳴き声だったのか、と
カリンは一人納得した。音の正体は実に耳障りな鳴き声だった。

「お前、何なんだ?」

『…コンパク…。』

「は?」

『キュ・・キュキュ!!』

一瞬会話が成立したように感じたがやはり基本的には
耳障りな鳴き声を発するようで、耳が痛いなとカリンは感じていた。

「コンパク、ってのが名前なのか?」

『キュッ。』

実に耳障りな返事もあったもんだ、とカリンは思う。
どうやらこの物体の名前はコンパクらしくその名と見かけの通りやはり魂であった。
魂と幽霊の差って何かあるのだろうかと少し悩みかけたカリンだったが
それはまた疲労を増やすだけだったので思考を止めた。

よくよく見て見るとコンパクの左手には何か紐が握られていて
その紐の先を辿っていくと自分自身の首にその紐が伸びていることにカリンは気がついた。
そして更に首のあたりを触ってみると
自分の首に首輪がはめられていることにカリンは気がついた。

「なんだ…これは?」

コンパクを睨みつけながらカリンは問うた。

『キュ♪』

コンパクは嬉しそうに笑いながら耳障りな声を発した。
そこでカリンは直感的に感じた。

「お前、私を道連れにする気か?」

『キュキュ♪』

コンパクはことさら嬉しそうに発泡スチロールをこすり合わせた。
それはもはや不快どころの音ではない鳴き声だった。

「お前、殺すぞ?」

『キュ?』

何を言ってるんだ?と言わんばかりの顔をコンパクはとった。
カリンも、魂の時点でたぶん死んでいるんだろうなとは思っていたが
そう言わずにはいられない苛立ちだった。

そしてカリンはコンパクを殴りつけた。
あぁ魂って殴れるんだなぁ~とかカリンは少し呑気に感心していた。
しかし、コンパクは殴り甲斐のないくらい軽かった。

カリンに殴られたコンパクは消え入りそうな発泡スチロール音を発し
職員室の壁の向こうへ消えていった。
それと同時にカリンは気が遠くなっていた。


気がつくとカリンは保健室のベッドで寝ていた。

「…カリン!!」

近くにいたらしいマリが喜びの声をあげた。
どうやら、救急車で搬送される前だったらしく
何事もなく起き上ってしまったことにカリンはなんだか少し罪悪感を感じていた。

「大丈夫?カリン、いきなり倒れちゃったんだよ?」

「大丈夫だよ。ちょっと身体が痛い気もするけど。」

やはり受け身は大事なんだろうなと、
全身に鈍く走る痛みからカリンはそう感じた。


結局、目は覚めたカリンだったが一応大事をとって病院で診てもらうことになり
人生初の救急搬送を経験した。
よほど救急車内の方が心霊体験なんかよりも緊張してカリンは冷や汗をかいていた。

健康な人間が救急車に乗っていいのだろうか。
そんな思いがぐるぐるカリンの頭の中を回っていた。

しかし、搬送先の病院が見えた頃
またもあの不快音が聞こえ始めた。

そして、カリンは気を失った。
今回はベッド上での気絶だったので急に倒れたりもせず
周囲には気づかれなかった。

幽体離脱中って脈拍無くなったりしないよな、と少しの心配をして
除霊方法を本気で勉強した方がいいかもしれないなとか
そんな思いを抱きつつカリンはその不快音の発生源を向く。

『キュキュ・・キュ~♪』

「一人で成仏しやがれぇ!!」

カリンは、コンパクへ殴りかかった。


この時のカリンはこの不快音とは長くても他の霊同様あと数日の付き合いだと思っていた。
まさかあんなにも長い付き合いになるとは
カリンは思ってもいなかったのだった。


~おわり~

ここまでお読みいただきまして本当にありがとうございました!!

終着点が見えなかったからこんなにも曖昧な終わりでした(苦笑)

今までで最長です。
だって書きたかったんだもの(苦笑)

ホント、ありがとうございました!!


ではでは、また明日!!

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